PIC16F13145は、Microchip社が提供する8ビットマイクロコントローラで、特にConfigurable Logic Block (CLB)というカスタマイズ可能なデジタルロジックブロックを搭載している点が最大の特徴です。
これにより、外付けのロジックICなしで、AND/OR/NANDゲート、フリップフロップ、LUT(Look-Up Table)などをチップ内部で構成し、PLD/FPGAのように柔軟なデジタル回路の設計ができます。
「PIC16F13145で電子工作」では、USB Type-Cを搭載したPIC16F13145 Curiosity Nano 評価キット(EV06M52A)を利用し、MPLAB X IDEとMCC(MPLAB Code Configurator)を使って電子工作をしていきます。
第1回は、MPLAB X IDE を使った開発環境の構築、PIC16F13145 Curiosity Nano 評価キット(EV06M52A)の概要とサンプルアプリケーションによる動作確認を行います。
PIC16F13145の主な特徴
- Configurable Logic Block (CLB)は32個の基本ロジック素子(BLE)を持ち、ユーザーが自由にデジタル回路を構築できます。
- 応答性の高いセンサー設計のための演算機能付き10ビットA/D コンバータ(ADC) を搭載しています。
- バッファ付き出力付き 8 ビット D/A コンバータ (DAC)を搭載しています。
- 周辺機器ピンの割り当てを変更(PPS)することができます。
- 非同期、RS-232、RS-485、LIN互換をサポートするUARTを搭載しています。
- 1.8Vから5.5Vの広い電圧範囲で動作します。
- 無償のMPLAB X IDEとMCCで開発を行うことができ、デジタル回路の構築はHDL(ハードウェア記述言語)も利用できます。
詳細は、「PIC16F13145-Family-Microcontroller-Data-Sheet」を参照してください。
MPLAB X IDE 6.20の利用
マイクロチップテクノロジー社から無償で提供されている「MPLAB X IDE(統合開発環境)」を、Windows11パソコンにインストールして、PIC16F13145 Curiosity Nano 評価キット(EV06M52A)の開発環境を整えます。
MPLAB X IDE 6.20のダウンロード
2025/12/12現在の最新バージョンは「v6.25」ですが、このバージョン以降は、PICkit 3プログラマ、MPLAB ICD 3およびMPLAB REAL ICEインサーキットエミュレータがサポートされませんので、ここでは、バージョン「v6.20」を利用します。
「MPLAB Development Ecosystem Downloads Archive」ページにアクセスし、Windows (x86/x64) の「MAPLAB v6.20」をクリックします。

任意のフォルダに「MPLABX-v6.20-windows-installer.exe」を保存します。
MPLAB X IDE 6.20のインストール
保存した「MPLABX-v6.20-windows-installer.exe」を起動すると、Setup Wizardダイアログが表示されますので、「Next>」をクリックします。

License Agreememtダイアログが表示されますので、「I accept agreement」を選択し、「Next>」をクリックします。

Installation Optionダイアログが表示されますので、必要があれば「Installation Directory」を変更し、「Use System Proxy Setting」を選択後、「Next>」をクリックします。

Select Applicationsダイアログが表示されますので、「MPLAB X IDE」 、「MPLAB X IPE」、「8-bit MCUs」を選択し、「Next>」をクリックします。

Setup is ready to begin installing MPLAB X IDE v6.20 on your computer.ダイアログが表示されますので、「Next>」をクリックします。

インストールが始まります。(インストールには数分~数十分かかります)

セットアップ完了のダイアログが表示されますので、「Install latest MPLAB XC8 compiler v3.00(8-bit devices)」が選択されていうることを確認し、「Finish」をクリックします。
「Install latest MPLAB XC8 compiler v3.00(8-bit devices)」は、8ビットPIC用のCコンパイラです。

MPLAB XC8(8ビットPICマイコン用のCコンパイラー ) v3.00のダウンロードが自動的に始まります。

Setup - MPLAB XC8 C Compilerダイアログが表示されますので、「Next>」をクリックします。

License Agreememtダイアログが表示されますので、「I accept agreement」を選択し、「Next>」をクリックします。

Licensingダイアログが表示されますので、「Free」を選択し、「Next>」をクリックします。

Installation Directory ダイアログが表示されますので、必要があれば「Installation Directory」を変更し、「Next>」をクリックします。

Coppiler Settingsダイアログが表示されますので、「Apply setting to all users of this machine」を選択し、「Next>」をクリックします。

Ready to Install Compilerダイアログが表示されますので、「Next>」をクリックします。

インストールが始まります。

Licensing Informationダイアログが表示されますので、「Your Host ID is」(0c54axxxxxxx)を控え、「Next>」をクリックします。

セットアップが完了のダイアログが表示されますので、「Finish」をクリックします。

MPLAB X IDE 6.20の起動
デスクトップ画面に「MPLAB X IDE v6.20」のアイコンがありますので、ダブルクリックするとスプラッシュが表示されます。

MAPLAB X IDE v6.20が表示されます。

右上の「X」をクリックて、MAPLAB X IDE v6.20を終了します。
PIC16F13145 Curiosity Nano 評価キット(EV06M52A)
PIC16F13145 Curiosity Nano 評価キット(EV06M52A)(以下:Curiosity Nano)は、PIC16F13145 ファミリマイクロコントローラを評価するためのハードウェアプラットフォームです。
PIC16F13145 Curiosity Nano (EV06M52A)購入先(参考):マルツオンライン
Curiosity Nanoには PIC16F13145 マイクロコントローラ (MCU) と、オンボードデバッガが搭載されていますので、PIC16F13145 のプログラミングやデバッグのための外部ツール(PICkitXX等)は必要ありません。
詳細は「PIC16F13145 Curiosity Nano User Guide」を参照してください。

Curiosity Nanoの特徴
- PIC16F13145 マイクロコントローラを搭載しています。
- USB Type-Cコネクタで開発マシンと接続します。
- ユーザがプログラムで制御できる黄色LED が1個搭載されています。
- ユーザがプログラムで制御できるタクトスイッチ が1個搭載されています。
- 電源およびステータス監視用の緑色のLED が1個搭載されています。
- 32.768kHz水晶発振子の設置スペース(フットプリント)があります。
- Microchip MPLAB® X IDE におけるオンボードデバッガーサポートしています。
- ボードの識別
- 仮想シリアルポート(CDC)
- プログラミングとデバッグ
- 1つのデバッグ用GPIOチャネル(DGI GPIO)
- USBにより給電ができます。
- PIC16F13145マイクロコントローラとその周辺機器用の供給電圧を調整できます。
- オンボードデバッガー制御のMIC5353 LDOレギュレータ
- 1.8–5.1V 出力電圧(USB入力電圧により制限)
- 最大出力電流 500 mA(周囲温度および出力電圧により制限)
Curiosity Nanoの概要

ブロック図

ピン配置
PIC16F13145の全I/Oピンは、ボードのエッジコネクタからアクセス可能です。

ピンヘッダーの使用
Curiosity Nanoのエッジコネクタ実装領域は、各穴が中心から約0.2mmずれた段差配置設計となっています。
この穴のずれにより、基板へのはんだ付けなしで標準的な2.54mmピンヘッダーを使用できます。
ピンヘッダーは、ピンソケットやプロトタイピングボードなどの用途で、しっかりと固定されれば問題なく使用できます。
サンプルアプリケーション
Curiosity Nanoに搭載されたPIC16F13145には、内部CLB周辺機器を用いたステートマシン機能を確認するためのサンプルアプリケーションがインストールされています。
「MPLAB X IDE v6.20」に起動に関係なく、初めて電源が供給されると、オンボードLEDの動作や輝度を制御するデモアプリケーションが起動します。
- LED0が7.8Hz(約0.13秒)で点滅します。マイクロコントローラはこのプログラムを実行して起動します。
- タクトスイッチSW0を押すと、LED0が最小輝度(12.5%)で点灯します。
- タクトスイッチSW0を押すと、LED0の輝度が6段階(最大87.5%)まで増加します。
- タクトスイッチSW0をもう一度押すと、LED0が7.8Hz(約0.13秒)で点滅する状態に戻ります。
コード例、実行動画は「GitHub」を参照していください。
(サンプルアプリケーションの実行にはブレッドボードは必要ありません。)
MPLAB X IDE v6.20での確認
MPLAB X IDE v6.20を起動します。
Curiosity Nanoを初めてコンピューターに接続すると、オペレーティングシステムがドライバソフトウェアをインストールし、MPLAB X IDEにCuriosity Nano用の主要リンクを複数備えた「Kit Window」が表示されます。

今回は、PIC16F13145を搭載したCuriosity NanoとMPLAB X IDE v6.20を使って電子工作を行う環境を整えました。
第2回は、Curiosity Nanoに搭載されているLEDを制御(Lチカ)プログラムを作成します。
更新履歴
| 日 付 | 内 容 |
| 2025.12.28 | 新規投稿 |