イギリスのラズベリーパイ財団により開発さているRaspberry Pi 4 Model B(以下「Raspberry Pi4」) に、基本ソフトウェア(OS)をインストールして、IoTプログラミングを行う準備をします。
センサー、モーターなどの入出力デバイスや、通信デバイスを制御するプログラミングに「Raspberry Pi4」を使っていきます。
用意するもの
「Raspberry Pi4」をコンピュータとしてセットアップするために必要とされる機器や環境を用意します。
ハードウェア機器と環境
「Raspberry Pi4」をコンピュータとしてセットアップするために必要とされる機器を用意します。
機 器 | 規 格・説明 | 備 考 |
---|---|---|
本体 | Raspberry Pi4 ModelB 4GB ラズベリーパイ4 | |
ケース | GeeekPi Raspberry Pi 4 ケース | |
microSDカード | SanDisk microSDカード 32GB UHS-I Class10 【または同等品】 | |
電源アダプタ | Anker PowerPort III 65W Pod 【または同等品】 | |
電源ケーブル | Anker PowerLine III USB-C & USB-C 2.0 ケーブル(0.3m) 【または同等品】 | |
モニター | HP モニター V24ie G5 23.8インチ フルHD 【または同等品】 | |
モニター 接続ケーブル | MacLab. Micro-HDMI to HDMI 変換 ケーブル 3m 【または同等品】 | |
マウス | HP 100G(USB Type-A有線で接続) 【または同等品】 | |
キーボード | エレコム TK-FCM103XBK(USB Type-A有線で接続) 【または同等品】 |
セットアップを補助するための環境を用意します。
補 助 項 目 | 説 明 |
---|---|
Windows10パソコン 【または同等品】 | 「Raspberry Pi4」で使用する基本ソフトウェア(OS)を ダウンロード及びインストールします。 |
ネットワーク環境 | WiFiを使用してインターネットに接続します。 |
Windows10パソコンの他に「Raspberry Pi 4」専用のモニター、マウス、キーボードを用意するの大変!
「Raspberry Pi 4」はWindows10パソコンから遠隔操作ができますので、専用のモニター、マウス、キーボードは必要なくなります。設定する場合は拙著「ラズパイ実験室 【2】Raspberry Pi 4B 遠隔操作」を参考にしてください。
ハードウェアの組立て
組立といっても、「Raspberry Pi4」 をパーツショップで売っている普通のケースに入れただけの簡単なものです。しかし、「Raspberry Pi4」を事故から守るために、なくてはならないアイテムです。
用意する機器
組立てに必要な機器を用意します。
Raspberry Pi4
【性能】
項 目 | 説 明 |
---|---|
CPU | Cortex-A72 (ARM v8) 64bit (クロック 1.5GHz) |
メモリー | 4GB LPDDR4 |
USB | USB 3.0 x2ポート、USB 2.0 x2ポート |
有線LAN | RJ-45 ×1ポート:10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-T |
無線LAN | IEEE 802.11b/g/n/ac (2.4GHz帯/5GHz帯対応) |
Bluetooth | Bluetooth 5.0、Bluetooth Low Energy(BLE) |
ビデオ | マイクロ HDMI ×2 ポート |
カメラ | 2-lane MIPI CSI camera ×1 ポート |
ディスプレイ | 2-lane MIPI DSI display ×1 ポート |
映像、音声出力 | 3.5mmジャック(オーディオ/コンポジットビデオ出力) ×1 ポート |
GPIO | 40ピン GPIO |
SD card | microSDカードスロット ×1 スロット |
電源定格 | DC 5V |
消費電流 | USBポート、GPIO使用の場合は3A |
動作温度範囲 | 0~50℃ |
発熱部品があるため放熱効果が比較的高い「GeeekPi Raspberry Pi 4 ケース、Raspberry Pi 4B 用パッシブ冷却/熱放散ヒートシンク付き Raspberry Pi CNC アーマーケース 」を使用します。
組立て
付属の取扱説明書を参考に組立てます。
【完成状態】
基本ソフトウェア(OS) のインストール
組立てた「Raspberry Pi4」に、基本ソフトウェア(OS)をインストールして実際に使えるようにしていきます。
「Raspberry Pi4」はmicroSDカードにソフトウェアやデータを保存する仕組みになっています。
用意する機器と環境
microSDカード
今回インストールに使用した環境です。
項 目 | 説 明 |
---|---|
OS | Windows 10 (64bit) |
ブラウザ | Firefox(バージョン121.0.1 ) |
インターネット | 有線で接続 |
SDカードリーダー/ライター | パソコン本体に内蔵 |
一般家庭に広く普及しているWi-Fi(IEEE 802.11規格に準拠した無線LAN)を使用しました。
インストールの手順
用意したmicroSDカードをパソコンのSDカードリーダー/ライターにセットします。
基本ソフトウェア(OS)はラズベリーパイ財団のホームページからダウンロードしてインストールします。
https://www.raspberrypi.com/software/
以下の手順は2024年1月20日現在の情報です。ラズベリーパイ財団により変更される場合があります。
「imager_1.8.xx.exe」ファイルをパソコンのダウンロードなどのフォルダに保存します。
「imager_1.8xx.exe」を実行するとインストールが始まりますので、「Install」をクリックします。
「Run Raspberry Pi Imager」に✔が入っていることを確認し、「Finish」をクリックします。
「Rasperry PI Imager V1.8.xx」が始まりますので、「デバイスを選択」をクリックします。
「Raspberry Pi 4」をクリックします。
「OSを選択」をクリックします。
「Raspberry Pi OS(Legacy,32-bit)」をクリックします。
推奨されている「Raspberry Pi OS(64-bit)」を指定すると、「Scratch3」のGPIO拡張機能を使ったデバイス制御プログラミングができませんので注意してください。
「ストレージを選択」をクリックします。
先ほどパソコンに取り付けたSDHCカード(SDHC Card –32.0 GB)をクリックします。
「次へ」をクリックします。
「いいえ」をクリックします。
「はい」をクリックします。
書き込みが始まります。
書込み結果の確認が始まります。
「続ける」をクリックします。
「X」をクリックして終了し、SDHCカードをパソコンから取り出します。
起動
Raspberry Pi OSをインストールしたmicroSDカードを「Raspberry Pi4」にセットし、電源アダプタ、キーボード、モニター、マウスなどを接続して起動させます。
パスワード設定、一般家庭に広く普及しているWi-Fi(IEEE 802.11規格に準拠した無線LAN)接続などの初期設定を行います。
用意したもの
microSD カードRaspberry Pi OSをインストールしたmicroSDカードを使用します。
「Raspberry Pi4」を起動させるためには、USB-Typecで接続され、少なくとも5V3Aの供給ができる電源が必要です。
スマホの充電器として人気の高いAnker社の「Anker PowerPort III 65W Pod」電源アダプタと「Anker PowerLine III USB-C & USB-C 2.0 ケーブル 」電源ケーブルを使用しました。
電源ケーブルの長さは、電圧降下を抑えるため0.3m ホワイトを選択しました。
Raspberry PiはフルHD(解像度1920x1080)に対応しており、接続したモニタの解像度に応じて自動的に設定されます。
モニタはMicroHDMI(typeD)コネクタで接続されますので、対応したケーブルが必要です。
キーボード、マウスは一般的に使用されている有線USB Type-Aで接続できるものであれば問題ありません。
Wi-Fiを利用されている場合は自動的に認識されますので、ネットワーク名(SSID:Service Set Identifier)とパスワードを準備しておく必要があります。
【周辺機器と環境】
項 目 | 説 明 |
---|---|
モニタ | 解像度1920x1080 / 24インチ ディスプレイ |
モニタ接続ケーブル | MicroHDMI(typeD)⇔ HDMI(typeA) |
キーボード | 日本語89キー配列 / 有線USB Type-A で接続 |
マウス | 有線USB Type-Aで接続 |
Wi-Fi | 2.4GHz帯域を使用 |
取り付け
microSDカードを「Raspberry Pi4」の裏面のコネクタに取り付けます。
電源アダプタ、モニタ、キーボード、マウスのそれぞれのケーブルを取り付けます。
キーボードとマウスはUSB2.0(黒色)のコネクタに取り付けます。
参考ケーブル接続が見やすいように別のケースの写真を使っています。
起動の確認
取り付けが終了したら電源アダプタをコンセントに差し込みます。「Raspberry Pi4」ボード上の赤のLEDが点灯、緑のLEDが点滅します。
モニタにOSの起動処理のメッセージが表示された後、しばらくしてデスクトップ画面の上に「Welcome to Raspberry Pi Desktop!」のダイアログが表示されれば初回の起動は完了です。
初期設定
「Welcome to the Raspberry Pi Desktop!」ダイアログの「Next」をクリックします。
国と言語、標準時間帯を設定します。国(Country)で「Japan」を選択すると、Language、Timezoneは自動で設定されます。
終了後、「Next」をクリックします。
任意のユーザー名とパスワードを設定します。半角英数字と記号を組み合わせて8文字以上、32文字以下で設定します。入力誤りを防ぐため2回入力します。
終了後、「Next」をクリックします。
一部のモニターでは、デスクトップが画面より大きくなり、端が切り取られることがあります。
「Reduse the size of desktop on this monitor」スイッチをオンにして調整することができます。
終了後、「Next」をクリックします。
見つけ出されたWi-Fiリストの中で、接続するSSIDを選択します。
終了後、「Next」をクリックします。
Wi-Fiのパスワードを設定します。
終了後、「Next」をクリックします。
インターネットへの接続が可能になったので、OSとアプリケーションソフトウェアを最新バージョンに更新することができます。
更新する場合は「Next」をクリックします。
更新の内容によって数十分の時間を要する場合があります。
「OK」をクリックします。
一部ファイルの更新ができないエラーが出る場合がありますが、後で更新処理を行いますので「OK」をクリックします。
今まで設定した内容を反映させるために「Restart」をクリックして再起動させます。
再起動後にデスクトップ画面が表示されれば、初期設定は終了です。
WiFi接続が完了していればアイコンが右上に表示されます。
システムを停止させる場合は、「ラズベリーパイのアイコン」をクリックしてメニューを開き、「ログアウト」をクリックします。
表示された「Shutdown options」ダイアログの「Shutdown」をクリックするとシステムが停止します。
電源OFF
システム停止の処理中は緑のLEDが点滅していますので、緑のLEDが消灯したのを確認した後、電源アダプタをコンセントから引き抜きます。
点灯していた赤いLEDが消灯します。
自動的に電源がOFFにならないので注意が必要です。
「Raspberry Pi 4」はWindows10パソコンから遠隔操作ができますので、専用のモニター、マウス、キーボードは必要なくなります。設定する場合は拙著「ラズパイ実験室 【2】Raspberry Pi 4B 遠隔操作」を参考にしてください。
デスクトップの基本操作
「Raspberry Pi 4」にインストールされているよく使うアプリケーションを操作します。
Chromiumu ウェブ・ブラウザ
Chromiumu ウェブ・ブラウザは、Webサーバ に接続するためのソフトウェアで、 ウェブページ を表示したり、 ハイパーリンク をたどったりします。
Chromiumu ウェブ・ブラウザの起動とブラウジング「ラズベリーパイのアイコン」をクリックするとドロップダウンメニューが開きます。
「インターネット」をクリックしてメニューを開き、「Chromiumu ウェブ・ブラウザ」を選択して起動します。
表示された「Chromiumu ウェブ・ブラウザ」のアドレスバーにhttps://www.fujisan-kyokai.jp/viewspot50を入力すると、富士山絶景スポット50選が表示されます。
下にスクロールすると「1.大石公園(富士河口湖町)」の写真が表示されます。
写真の上で「右クリック」をすると、メニューが表示されますので、「名前を付けて画像を保存...」をクリックします。
「ファイルを保存」ダイアログが表示されますので、「ダウンロード」フォルダに「001ohishi.jpg」ファイルを「保存」をクリックして保存します。
保存が完了したメッセージが表示されますので、確認後、ブラウザの適当な所をクリックしてメッセージを閉じます。
「Chromiumu ウェブ・ブラウザ」のアドレスバーにhttps://akita-fun.jpを入力すると、秋田県公式観光サイト [アキタファン]が表示されます。
下にスクロールすると「アキタファン」の動画が表示されます。
動画の上で「右クリック」をすると、メニューが表示されますので、「名前を付けて動画を保存」をクリックします。
「ファイルを保存」ダイアログが表示されますので、「ダウンロード」フォルダに「top-movie-1-c721014b5146fc08de1a38be6fc0a4f3d9a262c210a117d73d8d0da5673fbdb3.mp4」ファイルを「保存」をクリックして保存します。
保存が完了したメッセージが表示されますので、確認後、ブラウザの適当な所をクリックしてメッセージを閉じます。
右上の「X」をクリックして終了します。
VCLメディアプレイヤー
VCLメディアプレイヤーはMPEG-2, MPEG-4, H.264, MKV, WebM, WMV, MP3…等、多くのメディアファイルに対応しています。
DVD、オーディオCD、VCDや様々なストリーミングプロトコルを再生可能なメディアプレイヤーです。
VCLメディアプレイヤーの起動と動画再生「ラズベリーパイのアイコン」をクリックするとドロップダウンメニューが開きます。
「サウンドとビデオ」をクリックしてメニューを開き、「VCLメディアプレイヤー」を選択して起動します。
メニューから「メディア」をクリックして、「ファイルを開く」を選択します。
ファイルを選択するダイアログが表示されますので、Chromiumu ウェブ・ブラウザで「ダウンロード」フォルダに保存した「top-movie-1-c721014b5146fc08de1a38be6fc0a4f3d9a262c210a117d73d8d0da5673fbdb3.mp4」を選択し、「Open」をクリックします。
選択した動画が再生されます。
確認後、右上の「X」をクリックして終了します。
イメージビューワ
イメージビューワはTIFF、PNG、JPEGなどの画像形式をサポートしています。
画像を回転させたり、拡大・縮小したり、画像がたくさんある場合は、スライドショーを開始し、画像を自動的に一つずつ変更することができます。
「ラズベリーパイのアイコン」をクリックするとドロップダウンメニューが開きます。
「グラフィックス」をクリックしてメニューを開き、「イメージビューワ」を選択して起動します。
ファイルを開くアイコンをクリックします。
ファイルを選択するダイアログが表示されますので、Chromiumu ウェブ・ブラウザで「ダウンロード」フォルダに保存した「001ohishi.jpg」ファイルを選択し、「開く」をクリックします。
選択した画像が表示されます。
確認後、右上の「X」をクリックして終了します。
LXTerminal
LXTerminalはキーボードを使って文字列により、「Raspberry Pi 4」とやり取りをするアプリケーションです。
文字列を入力すると、「Raspberry Pi 4」を対応する処理を行い、結果をモニターに文字列や情報として表示します。
「ラズベリーパイのアイコン」をクリックするとドロップダウンメニューが開きます。
「アクセサリ」をクリックしてメニューを開き、「LXTerminal」を選択して起動します。
「編集」をクリックして。ドロップダウンメニューから「設定」を選択します。
「スタイル」をクリックして、背景色を白(#ffffff)に、前景色(#000000)を変更後、「OK」をクリックして終了します。
XXXX(ユーザ)@raspberrypi:~$に後ろに、「ls 」(エル、エス)を入力後、「Enterキー」を押します。
「ls」はファイルやフォルダの情報を表示するコマンドで、この例ではホームフォルダにあるファイルやフォルダの情報を表示します。
確認後、右上の「X」をクリックして「LXTerminal」を終了します。
Text Editor
「Text Editor」は、テキストファイルの作成・編集・保存を行うソフトウェアです。
「ラズベリーパイのアイコン」をクリックするとドロップダウンメニューが開きます。
「アクセサリ」をクリックしてメニューを開き、「Text Editor」を選択して起動します。
デキストエディタの Mousepadが起動しますので、任意の文字(本日は晴天なり123ABC)の入力ができることを確認します。
「Ctrl+Space キー」で日本語の入力が切り替わり文字が入力できることを確認します。
作成したファイルを保存します。
メニューから「ファイル」をクリックして、「名前を付けて保存」を選択します。
任意のファイル名(test)を入力後、「保存」をクリックし「ホーム」フォルダに保存します。
タイトルバーにファイル名(test)が表示されます。
確認後、右上の「X」をクリックして終了します。
保存されているファイルを呼出します。
Text Editorを起動し、メニューから「ファイル」をクリックして、「開く」を選択します。
先ほど保存したファイル(test)を選択し、「開く」をクリックします。
「Texit Editor」に保存したファイルの内容が表示されます。
確認後、右上の「X」をクリックして終了します。
ファイルマネージャ
ファイルマネージャはファイルの一覧、移動、複製、削除、改名などを行うソフトウェアです。
「ラズベリーパイのアイコン」をクリックするとドロップダウンメニューが開きます。
「アクセサリ」をクリックしてメニューを開き、「ファイルマネージャ」を選択して起動します。
「ホーム」フォルダの内容が表示されます。
確認後、右上の「X」をクリックして終了します。
ソフトウェアのアップデートとアップグレード
「apt」コマンドでソフトウェアのアップデート(パッケージリストの更新)とアップグレードを行います。
パッケージリストの更新
「LXTerminal」を起動し、sudo apt updateを入力し、「Enter」キーを押します。
「LxTerminal」を終了します。
アップグレード
「LXTerminal」を起動し、sudo apt full-upgrade -yを入力し、「Enter」キーを押します。
更新の内容によって数十分の時間を要する場合があります。
「LxTerminal」を終了します。
LXTerminalから電源OFF
「LXTerminal」を起動し、sudo shutdown -h nowを入力し、「Enter」キーを押します。
システム停止の処理中は緑のLEDが点滅していますので、緑のLEDが消灯したのを確認した後、電源アダプタをコンセントから引き抜きます。
点灯していた赤いLEDが消灯します。
自動的に電源がOFFにならないので注意が必要です。